令和という新しい元号になり初めて迎えた正月は、私たちにとって表現における伝統の追求と革新の探求の仕方に思い及んだ時間となりました。
伝統と革新、一読すると双極の価値にも思えますが、道を究める生き方、道を拓く生き方、と換言するなら、そう簡単に二項を対立させて理解すべきものではないことが分かります。
例えば、元々は仏道のひとつである禅。
座禅と内観を通じて仏性へと至るあり方を前者とするならば、
プロダクトデザインに援用されたZENは後者的です。
些か強引な例えかもしれませんが、
禅という言葉に内在する価値がこのように咀嚼され広がりをもつのは、
その道(シンプルに物事の本質を究めんとするあり方)が示す普遍の価値ゆえだと感じます。
一般にArtは芸術と訳されるか、それだと伝えきれないニュアンスを考慮して
そのままアートと用いられます。
日本語における「道」もArtにとても近い言葉だと思います。
花道、フラワーアート、武道、マーシャルアーツ、中身は異なれど、どこか通じるものもあるように思えませんか。
そして、Artistになると、いよいよ訳語が難しくなってきます。
芸術家ではしっくりきませんし、アーティストと用いられることが殆どですが、
私たちはこのArtistという語感に次のような印象を持ちます。
「その道を見据える者は何を引き受け、何を革新させてゆくのか」
日本には、伝統と革新を合わせ呑み、物事を生み出してゆくスリリングなアーティストがいます。私たちは彼彼女と協業することで、訪ね来る人に、新たな価値に身を委ね、自身の創造性が活性化される希有な時間と体験を提供します。
環藝の取組を通じて明日のアーティストとの出会いがあることに感謝せずにはいられません。
皆さま、素晴らしい2020年となりますことを心よりお祈り申し上げます。